「俺、あの中に入るのやだ」
「……あたしも」
人だかりの中心に居るであろう四人はそれはもう目立ちまくっていて。
歩けば自然と道が開き、後ろには若い女の子の行列が出来るほど。
目の保養に浴衣を着せたけど、どうやらそれは失敗だったらしい。
普段でも女子達がうるさいのに、あんな破壊力抜群の浴衣姿で歩いたらそりゃ騒がれるに決まってる。
「凛音、何味にするー?俺はねー、イチゴ練乳!」
どうやら順番が来たらしく、陽がメニューを見ながら肩を叩いてきた。
「んー、あたしは、白玉入り抹茶!」
迷わず選択したあたしに、「凛音らしー」と笑う陽。
「はい、どうぞー」
「ありがとーおじさん」
「サンキュー!」
おじさんからカキ氷を受け取って、列から外れる。
さて、と。
「陽きゅん、どうするかね」
「うむ。ワシも今考えてた所だ」
目の前には相変わらずの人垣があって、こんな所に突っ込もうもんなら、たった今手にしたばかりのカキ氷ちゃんが無残な姿になってしまう。
うーん、どうしたものか。
陽と二人、カキ氷をつつきながら悩んでいたら。
「ありゃ。あっちから来てくれたわ」
あたし達が突っ込む前に十夜達の方からが来てくれた。