「……千暁くん、この前は本当にごめんね」



そっと千暁くんの手を取って、ギュッと強く握り締める。



「もう、凛音さん何回謝るんですか!?あれは俺の判断ミスなんです!凛音さんは謝らないで下さい!」


「でも……」



あたしが逃げ出したりしなかったら千暁くんはあそこに居なかった訳だし。



後々煌から聞いた話によると、あの時、千暁くんは鳳皇のメンバーじゃない友達と遊んでいたらしく、あたしが一人でいる所を見て慌てて追いかけてきてくれたらしい。


十夜があそこに来れたのも千暁くんが連絡してくれたお陰だって言ってた。


ホント、あたしって迷惑かけてばっかりだ。




「……分かりました!じゃあ、一つだけお願い聞いて下さい」


「お願い?」



ビシッとあたしの顔の前で人差し指を立てる千暁くんにコテンと首を傾げると、



「写真、撮らせて下さい!」


「………へ?」



ポケットからスマホを取り出した千暁くんが、あたしの目の前にスマホをズイッと突きつけてきた。



「千暁ずりぃー!」

「凛音ちゃん、俺も!」

「俺も撮らせて!」


「ぅわっ!分かった、分かったから皆落ち着いてー!」



迫ってきた皆に待ったをかけて、順番に写真を撮る。


因みに、写真を撮られていたのはあたしだけではなく、幹部達ももみくちゃにされながら撮られていた。




「うふふ……」


「凛音ちゃん、いっぱい撮れて良かったね」


「うん!」



あたしの手にはスマホとデジカメ。



“思い出”が一つ増えた。