「速いんだね」

「……ありがとう」



まっすぐな目でそう言われて、わたしはすぐに視線をそらすように顔を俯かせた。



「なんかね、転校生って特別な理由がない限り半年は大会に出られないんだって。だからわたしのいまの目標は、来春の大会なの」



今度はオレンジ色の空を見上げて、自分に言い聞かせるようにそうつぶやいた。


その大会では、怪我もせずにちゃんと上の大会まで進むんだ。

だからその分、冬はたくさんがんばらなくちゃね。



「がんばって」

「うん! ありがとう!」



優しく笑った彼を見て、わたしも笑顔を浮かべて大きくうなずいた。



来春の地区大会が最後の大会にならないように、たくさんがんばる。


まだあんまり想像できない半年後の未来だけど、全国大会に出られなくたとしても、ブロック大会までは絶対に進むんだ。






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