「……迷惑なら、言ってよ」
あんまり高瀬くんと目を合わせたくなくて、うつむいてお弁当を食べていると。
静かな理科室に、高瀬くんの低い声が響いた。
「め、迷惑なんかじゃないよ!」
「それならいいんだけど」
「むしろ、こっちが高瀬くんに迷惑かけちゃってるよね……」
「あは」と苦笑いを浮かべてそう言うと、高瀬くんは「そんなことない」と真剣な目をして言ってくれた。
それはなんでも見透かされちゃうような、そんなまっすぐな瞳。
じっと見つめられて恥ずかしくなって、わたしはすぐに目を逸らした。
それからはお互い話さずに食べていた。
1階の理科室には、窓のすぐ向こうにある校庭から遊んでいるような声がよく聞こえてくる。
そして15分くらい経ってから、わたしより先に食べ終えた高瀬くんは私の後ろにある窓の外をぼーっと見ていた。



