「冗談だよ」
どういうことかとひとり悩んでいると、そう言っておかしそうに笑った。
本当によく笑う人。
でもそれが他の人の前では見せていない笑顔だと思うと、やっぱり不思議。
わたしへの優しさの理由を教えてくれない高瀬くんのことがやっぱり気になるよ。
「あはは、高瀬くんって変な人だね」
「俺が?」
「うん」
高瀬くんの言った“気分”という言葉が冗談なのか本当なのかわからない。
だけどわたしはもっと高瀬くんと仲良くなってみたいと思った。
――ビューッと強く生ぬるい風が吹く。
潮風がぺたりと髪に張り付くような感じがした。
まだまだ暑いなあ。
放課後なのに日はまだ強くて、歩いてるだけでじわっと額に汗が浮かぶ。
「暑いね〜」
「うん、そうだね」
しばらく沈黙が続いた中で出した言葉に、高瀬くんは柔らかい顔でそう答えた。



