「またオトナっぽくなった?」

「え〜、なにそれ。 髪、伸びたからかなあ」



でも会わないうちに、蒼もまた、オトナっぽくなったような気がするな……。



本当は高校生のときみたいに、毎日会ったり顔を見て話したいけど。

いまはSNSのメッセージのやり取りをしたり、たまに電話をするだけだから、ちょっとさみしい。



「そういえば、今度また大会があるんだけど」



肩が触れそうなくらい近い距離で砂浜に座ると、蒼はそう言ってきた。



「行く。ぜったい行く!」

「だれにも負けないくらいの声で応援してくれるんだっけ」

「ちょ、ちょっと、もうそれ言わないでよ……恥ずかしい!」



あのときはあんな空気だったから言えたんだけど、いまになってくると恥ずかがこみ上げてくる。


なのに蒼は大会があるたびに、その言葉を言ってくるんだ。


……でも、それくらいの大きな声で応援するのは、変わらないけどね。




――青い空、青い海。

砂浜に、ふたりの影が伸びる――。






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☆END☆