走ることなんてできなくて、右足を引きずるようにして歩いて、周りよりも10秒以上遅いくらいで、ようやくゴールできた。
「大丈夫?」
係員の人の言葉にうなずいて、わたしはゴール横まで自力で移動した。
だけど壁際まで行った瞬間、力尽きてその場に座り込んだ。
――ズキズキと、強く痛む。
それは、おそらく肉離れをした右ももではなくて、胸の痛みだ。
「……っ」
ぽろぽろとあふれ、こぼれ落ちる涙。
係員の人が何人か近づいてきたけれど、彼らがなにを問いかけてきているのかも聞こえなくて、ただ首を横に振った。
「華純!!」
だけど、若菜の声だけは鮮明に聞こえた。
「大丈夫!?」
「うぅっ……若菜ぁ」
「落ち着いて、華純」
悔しさや、他の感情が混ざって泣いているわたしの背中を、若菜は優しくさすってくれる。



