今日は自分の納得のできる走りをすることはできなかったけど、県大会でその目標が達成できるかもしれない。


あわよくば、地方大会に行けたらいいのになあ……なんて、考えてしまう。



「吉井さん、今日はおつかれさま」

「高瀬くんも、おつかれさま」

「明日もお互いに200出るし、がんばろう」

「うん!」



200メートルは本当に自信がないけれど、そっちでもギリギリ県大に出れるといいけどな……。


わたし、欲張りすぎかな?
でもそう考えていいよね、きっと。



――高瀬くんは、相変わらずわたしの目標とする走りをしていた。

風みたいに、一瞬でわたしの前を通っていく、そんな走り。


すごく、かっこよかったんだ。



だからわたしも、そんな走りをしてみたい。

余計に強く、そう思った。





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