お父さんは人の少ないところで、ひとり、ぽつんと座っていて。
まだわたしには気がついていないみたいだったから、わたしはそんなお父さんのとなりに座った。
「……華純」
「お父さん、久しぶり」
「大きくなったな」
「あはは、そうかなあ……」
なんだか緊張しちゃって、うまく話せない。
だけどそれはお父さんもいっしょみたいで、わたしに目を合わせてくれようとしないから、わたしもただ前を見つめた。
「来てくれて、うれしい。初めてだよね、こういうのを見に来てくれたの」
「ああ、そうだな……。今日は休みが取れたから、歩夢といっしょに来たんだ」
「歩夢もいるの?」
「いまはユリコと」
お父さんの口から聞くお母さんの名前。
それだけで、なんかよくわかんないけど、うれしくなった。



