「華純、決勝までがんばってね」
「……うん」
そう言われ、気まずいなか若菜と陣地にもどる途中、若菜はわたしに「あのね」と口を開いた。
「あたし、学総で引退するつもりだったの」
「……え?」
「ほら、受験あるし。親にそう言われてるの」
「そんなの、初めて聞いた」
「あはは、言えなかったんだって、ごめん」
悲しい表情をする若菜の言葉に、「ううん」と首を横に振った。
ということは、若菜はもう……明日で引退しちゃうんだ。
「でも、若菜は明日、100メートルハードルにも出るでしょ? だからそれで……」
「無理だよ」
「でも、まだやってないんだから、わかんないじゃん」
あんなに練習をがんばってたんだもん。
先生だって、ハードルなら決勝に出れるかもしれないって、言ってた。
準決がないからこそ、可能性は高い。



