すると高瀬くんは「わかった」と言って、自転車に乗って先に学校へと向かって行った。



まだ、つき合ってないけど、高瀬くんの気持ちを聞いちゃったからか、いつもよりドキドキしてる自分がいる。


でもそれと同時に、胸はぎゅうっと締めつけられるように痛むんだ。



だって、沙莉に……なんて言えばいいんだろう。

話せないよね、こんなこと。
昨日の今日だし……。


わたし、どうすればいいんだろう。



高瀬くんに会うこともなくひとりで校舎に入って、のんびりしながら下駄箱で中履きに履き替える。


そして教室に向かう途中、「かすみん!」と後ろから声が聞こえて、階段を上る足を止めた。



「……沙莉。おはよ」

「うん、おはよう!」



沙莉はバッグを持ってなく、手にはペットボトルがあるから、きっと登校したあとに飲み物を買いに行ったんだろう。