それに、驚いているのは、高瀬くんのことを考えているときに急に現れたから。

でもいま心臓のバクバクが止まらないのは……なんだか緊張しているからだ。



「吉井さんがそんなんだと、俺も緊張する」



なんて高瀬くんが言うんだから、やっぱり昨日のことは現実だったんだね。



「ごめん!」

「べつにいいよ」



高瀬くんの優しい笑顔に、やっぱり胸はドキドキしている。

そんな忙しい心臓の音を抑えるように、ゆっくりと深呼吸をした。



すると、海の潮の香りがした。
波の音も一定で、なんだかやっぱり、心が落ち着く。



「あ、高瀬くん、先に行ってていいよ」



少し歩くと学校が見えてきて、わたしの隣を歩いていた高瀬くんにそう言った。