「でも俺は行けなかった。あいつはいま、その高校で陸上をやってる。タイムもすごい速いんだ」
「……そうなんだ」
「あいつは北部地区だから、戦えるとしたら県大会とかなんだ。 だから俺は、県大会に進んで、それで勝ちたいんだ」
その高瀬くんがいう“あいつ”は、中学のときからずっと同じくらいのタイムだったらしい。
でも高瀬くんが部活をやっていなかった間に、彼はもっともっと速くなったみたい。
「いっしょに、がんばろう!」
「うん、そうだね」
ガッツポーズをしてそう言うと、高瀬くんは優しく微笑んだ顔が、街灯に照らされて見ることができた。
……わたし、高瀬くんのこと諦めることなんて、できないや。
だってこうして話している間もずっと、胸がドキドキしているんだもん。



