でもやっぱり、どんなにどんなに考えても、思いつくのはひとつだけ。
「……わたしは、自分が納得できる走りをすること、かな」
そう答えたあとに、なんかちょっと恥ずかしくなって、「高瀬くんは?」と聞き返した。
すると高瀬くんは少しだまって、わたしと同じように考えるそぶりを見せた。
そうして、「俺は、勝ちたい相手がいるんだ」とぽつりとつぶやいた。
「勝ちたい相手……?」
「うん。 俺と同じ中学のライバルで、俺が推薦を受けていた高校にもいっしょに入学する予定だったんだ」
そう話し始めた、高瀬くん。
その横顔は悔しさや悲しさとか、いろんな感情が混ざっているように見えた。



