部活が終わって校舎を出たのは、6時半前。
今日は若菜は病院に行かなきゃいけないらしくて、さっき正門のところに車に乗ったお母さんが迎えに来ていた。
だからひとりで暗い道を歩いて帰っていると、ブレーキ音といっしょに、わたしの隣に自転車が止まった。
「ひとりだと、危ないよ」
高瀬くんの優しい表情が、街灯に照らされて見えた。
「あは、大丈夫だよ。あんまり暗くないし」
「結構、暗いと思うけど」
そう言って、自転車を押しながらわたしといっしょに帰ってくれるのは、高瀬くんの優しさ。
海沿いの道。
海も空も辺りも真っ暗で、なんだかちょっと怖いなあとは思う。
でも空に輝く数え切れないほどの星は、やっぱりとてもきれい。
「そういえばさ、吉井さんの目標ってなに?」
「目標?」
「うん。陸上の」
いきなりそう聞かれ、「うーん」と腕を組みながら悩んでみる。



