「華純、なにしてるの。まだ髪も濡れたままで」



お母さんは呆れたように、「湯冷めするわよ」と言った。



「でもさ、すごいきれいだと思わない?」

「そうね〜」

「夜になると丘の上に行って、星を見に行ったことあるよね」



なんて言うと、お母さんはわたしの隣に並んで懐かしそうに空を見上げた。

そんな顔するなら、別れたりしなければよかったのに……。



「もう何年前になるのかしら」

「5年くらいかなあ」

「……あのころコドモだった華純も、いまはこんなに大きくなって」

「あはは、なにそれ」



わたしが笑うと、お母さんもふんわりと優しく笑った。


自分自身だとよくわかんないけど、少なからずわたしはオトナに近づいているのかな。