下駄箱でくつを履き替えて、昇降口を出て、そして正門を通ろうとしたとき。

後ろからだれかに手首を掴まれて、後ろを振り返るのと同時に足を止めた。



「……高瀬くん」

「どうした?」

「どうもしないよ」

「じゃあなんで、ずっと部活休んでんの?」



そう聞かれて、言葉を詰まらせた。

高瀬くんと目を合わせるとなんでも見透かされそうで、顔を少しうつむかせる。



「話してもくれない?」

「……っ、それは」

「俺じゃ、力になんない?」



顔を上げたことを、後悔した。

……やっぱり高瀬くんと目があうと逸らせなくて、「ごめん」と小さく謝った。



「力にはならないかもしれないけど、吉井さんのこと、助けたいと思ってる」



そう言われて、高瀬くんはわたしの腕を引いて昇降口へともどった。