「かすみんも、速いんでしょ?」
「わたしはそこまでじゃないよ」
「でも若菜が、『うちの部のエース』だって言ってたよ!」
「えっ、なにそれ……!」
エース、なんてわたしにはもったいない言葉だよ。
でも、若菜がそんなことを言ってくれていたってことが、うれしくて。
口元が緩んで思わず手で口を覆った。
「弱小とか同好会とか言われてるけどさ、かすみんと蒼くんのおかげでまた活気がもどるかもしれないね〜」
「そうなると、いいけどな……」
「なるよ!」
自信満々に言った沙莉のにっこり笑顔を見て、「がんばるね」と笑って返した。
とにかくいまは、放課後が楽しみ。
今日は高瀬くんの走りを見ることができるのかなあ……。
なんてぼんやり思いながら、窓の向こうに広がる、雪でも降りそうな曇り空を見た。
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