でもいま高瀬くんに下の名前で呼ばれるのは恥ずかしくて、赤くなった頬を隠すようにしてマフラーに顔を埋めた。
「……全然、知らなかったな」
でも、わたしが昔から知ってる人じゃないと、たぶん高瀬くんは優しくしないもんね。
それにしても、なんだか高瀬くんに悪いことをしてしまったような気分。
わたし、今朝になるまで本当に全然わかんなかったもん。
なんて思いながらも、高瀬くんに聞きたいことがあったのを思い出して、「そうだ」とつぶやいた。
「ん?」
「わたし、どうして高瀬くんのことを『ソウちゃん』って呼んでたの?」
「ふはっ、それも忘れた?」
あまりにもおかしそうに笑う高瀬くんを見て、不思議に思って首を傾げた。
すると高瀬くんは「来て」と言って、わたしの腕を引いて歩き始めた。
そして近くにあった階段を使って、砂浜へと降りた。



