青とオレンジが混ざって、水平線の上に広がる空は、紫色に見える。
季節はちがえど、この空はあの夕方の景色と似ている。
家の方向とは逆に、少し歩いたところで足を止めた。
岩場へは降りずに、胸の高さくらいまである柵に手をかけて、海を眺める。
下に広がるゴツゴツとした大きな岩を見て、高瀬くんは「覚えてたんだ」と言った。
「やっぱり、ソウちゃん?」
「うん」
「……わたし、そのことを今朝初めて知ったんだ」
そう言うと、高瀬くんは笑った。
「俺は初めて話したときから、気づいてたよ。名字はちがったけど、どうみても華純だって思って」
高瀬くんはサラッと、わたしのことを「華純」と呼んだ。
……そうだった。
あのとき高瀬くんは、わたしのことを下の名前で呼んでいたんだっけ。



