「逃げたくない。 陸上がすげー好きだったから、怪我なんてなかったみたいにまた走りたいんだ」
高瀬くんも、陸上が好きなんだね。
わたしと、いっしょだ。
そんな共通点がうれしくて、思わず口元が緩んだ。
「わたし、応援するね。 いっしょに春の大会でベストを出せるように、がんばろう!」
「うん、ありがとう、吉井さん。 俺も応援してるから」
こんなやりとりはちょっと恥ずかしいけれど、その言葉でわたしはたくさんやる気をもらえるんだよ。
冬の練習はすごくキツくて、辛い。
だけど、高瀬くんも怪我に負けないでがんばるんだから、わたしもがんばる。
「ねえ、高瀬くん……行きたいところがあるんだけど」
少しの沈黙が流れたあと、わたしはそう言ってみた。
うなずいて「いいよ」と返してくれた高瀬くんを見て、わたしはあの小学校のときによく遊んだ岩へ、向かった。



