冷たい潮風が、肌を刺す。
やっぱり、海沿いの町ってふつうのところよりも寒い気がする。
バッグから白いマフラーを出して、首に巻きながら歩いていると。
いつもどおり、キキーッ!というブレーキ音がしてわたしの隣に自転車が止まった。
「お待たせ」
「うん」
自転車を降りた彼と、肩を並べてゆっくり歩いていく。
高瀬くんはべつにそこまでスピードを出していないのに大きなブレーキ音が出るのはきっと、油が足りていないから。
その音ですぐに、高瀬くんだってわかるくらい。
ずっとそれを、直していないから。
その話を一度高瀬くんにしたとき、「どうせすぐ買い換える」って言ってたけど、あれから一度も自転車は変わってない。
なんて、そんな話をしたのも何ヶ月か前。
わたし……ここに来てからもうそんなに経っているんだなあと、実感した。



