「蒼くんとはずっといっしょだったし、だからわたし、なんでも知ってるんだって思ってたかったんだ」
「うん」
「蒼くんの気持ちもぜんぶわかってるつもりだった。 だから陸上に関わる蒼くんはきっと、辛いんだと思ってた」
沙莉はまゆじりを下げて、悲しそうな顔をしてそう言った。
……ううん、たしかに高瀬くんは陸上に関わることは辛いはずだよ。
だって、結局マネージャーも辞めたしね。
「わたしこそ、高瀬くんの走りが見たいっていうだけで、勝手に気持ちを決めつけちゃった」
「でも蒼くんは本当にまた陸上を続けるかもしれないよ」
「……え?」
「言ってたの。『また走りたい』って。 かすみんを見てそう思ったって」
沙莉は柔らかく微笑みながら、そう言った。
なにそれ……そんなの初耳だよ。
もしかして、高瀬くんの「話がある」って言ってたやつの内容はこのことなの?



