翌日。
朝は苦手なくせに、今日に限って早く目が覚めてしまった。
だから、いつもより家も早く出てきた。
……だけど、そのわりに足は鉛みたいに重たい。
今日は晴天で、春らしく暖かくなるだろうって、ニュースの天気予報でアナウンサーが言っていた。
そんな空を見上げて歩くと、少しだけ気持ちも晴れたような気がした。
大丈夫。きっと、大丈夫だよね。
ちゃんと自分に言い聞かせるように、小さく、そうつぶやいた。
「……おはよ」
聞き覚えのある、ブレーキ音。
足を止めて隣を見ると、そこには高瀬くんがシルバーの自転車にまたがっていた。
「お、おはよう」
彼の笑顔は柔らかくて、いつもどおりの優しい雰囲気を感じられた。
……どうして、わたしにふつうに話しかけてきたんだろう。



