わたしは高瀬くんのこと、まだ全然知らないよ。
だからなんでも知ってる沙莉に、こんな口答えしたって無駄だとはわかってる。
「かすみんに、なにがわかるの?」
「わかんないよ。 でも高瀬くんだって、自分の壁にぶつかろうとしてるのかもしれないじゃん」
お互いに、熱くなる。
わたしのこの反抗心は、いったいどこから出てくるのかはわからない。
……それでも、高瀬くんの気持ちを勝手に決めつけるのは、良くないと思った。
だけどわたしだって、いま、高瀬くんのそんな過去を知ったくせに、なに言ってるんだろう。
ーーでもわたしは、高瀬くんの走りを見てみたい。
泣きそうな沙莉は、初めて見た。
そんな顔をさせるつもりはなかった。
「……沙莉、華純ー! 早く帰ろうよ」
そんな声が聞こえて教室の後ろのドアを見ると、そこには若菜と高瀬くんと皐くんの姿があった。



