青春に、寄り道中。




「蒼くんは、中学のとき陸上部だったの。とっても速いスプリンターだった」



沙莉はそう、話し始めた。


高瀬くんが、スプリンターだった……。
そんなこと知らなかった。



「高校も強豪校に行くはずだった。でもね、自転車事故で足を故障したの」

「え? 自転車事故……?」

「うん。 その決まってた進路も、取り消された」



それって、ものすごく辛いことだよね。


わたしだってスポーツ推薦で、陸上の強い高校に入った。

だけどその進学前に足を壊して、しかもそれを取り消しされちゃうのって、きっと辛い。



「足も思うように動かなくて、蒼くんは走るのが怖くなった。 それで陸上から離れたくて、弱小チームしかないこの高校を選んだの」



教室の片隅でこんな真面目な話をしているとは思わないクラスメートは、冬休みどこ行くかとか、楽しそうに話している。