「ふたりとも、レストはあと5分だよ」
高瀬くんは近づいてきて、わたしと若菜にそう言った。
「えっ、高瀬くんいつからいたの?」
「いまさっき来た」
今日は美術部の活動があるから遅れてくるとは聞いてたけど、いまさっき来たのは気がつかなかった……。
会話、聞かれてたかな?
いやでも、男子たちはちょっと離れたところで座ってるし、たぶん高瀬くんもそこにいたから平気だよね。
「俺、2本目から見てたけど、先生の言うとおり本気出しすぎじゃない? 吉井さん、最後までもつ?」
「もつよ! 大丈夫!」
「……今日、なんかあった?」
なんていう高瀬くんの言葉に、「いつもどおりだよ」と笑って返した。
なんでそういうの、気がついちゃうかなあ……。
ばれてしまいそうで、心臓のドキドキが鳴り止まない。
走ったあと以上に、苦しいくらい。



