「今日は元気なんです」

「はあ?なにを言ってるんだ。 そのペースでいけるならいいけど、3セット目まで落ちるなよ」

「はい、わかりました」



しかたなくうなずくと、先生はわたしの態度が気に食わなかったのか、「落ちたら吉井だけ補強追加だからな」と恐ろしいことを言ってきた。


まあ、ぜんぶわたしが悪いんだけど。

だけど1セット終わってもあんまり疲れてないし、いまの設定タイムでぜんぶ走れる気がしてきた。



先生から逃げて、コンクリートからグラウンドに降りるところの段差に腰をかけていると、隣に若菜がやってきた。



「ちょっとさ、さすがにあれは速すぎじゃない?」



若菜は怪訝そうな顔でそう言った。
そんな言葉に、「あはは」と苦笑いを浮かべる。



「……うん、ごめん。 でもクセなんだあ」

「クセ?なんの?」



若菜はさらに眉間にシワを寄せた。