沙莉が、うらやましいなあ。


なんて、沙莉に嫉妬するとか、そんなの最低だよね……。



だけど、ふたりにはわたしには知らない、ふたりの時間がある。

わたしはまだ高瀬くんのことを全然知らないけれど、きっと沙莉はよく知っているんだ。

そう考えると、ちょっとうらやましくもなるよ。


ーーだけど、わたしが入る隙なんて、1ミリもない。



「そろそろ行こう。時間なくなっちゃう」



なんて思っていると、若菜がそう言った。


その言葉にわたしは「そうだね」と返して、そこらへんの机に置いたバッグを肩にかけた。

他のみんなも同じように荷物を持って、教室を出た。



それからは、いつもどおりの空気。

だけど沙莉だけがどこかソワソワしていて、そんな沙莉を見るとなんだかかわいくて思わず、くすっと笑ってしまった。



今日はふたりの想いが、確信に変わった日。


わたしにできることは、ふたりを邪魔するだとかそんなことじゃなくて。

純粋な気持ちで、応援すること。
……それだけだ。






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