「……知ってる人だったら?」



そんなとき聞こえた沙莉の声に、顔を上げた。


沙莉も思わずその言葉が口から出たみたいに、そのあとすぐに「なんでもない!」と慌てて言った。



「わかんない。されたことないから」



だけど高瀬くんは、さっきとはちがって柔らかい表情で、そう答えた。



「じゃあもしも、わたしとか若菜とかかすみんに告白されたら?」



沙莉の言葉に、高瀬くんの頬がほんのり赤く染まったように見えた。

それは、夕日の色?
それとも……ーー。



「どうだろう」



高瀬くんは顔を少しうつむかせて、平然を装うようにしてそう答えた。



なんだかよくわかんない空気が、5人の中に流れている。


その中でも、高瀬くんと沙莉のふたりだけは別の空間にいるみたいで。
それを見て、なんか胸がぎゅうっと痛くなった。