どうしよう……。
そう言ってくれるのはうれしいんだけど、あんまり気が進まない。
だけど、少しの間悩んでから、わたしは「ありがとう」と言った。
いまは遅刻しないことが優先だよね。
……なんて、言い訳だけど。
自分にそう言い聞かせて、わたしは高瀬くんに促されるようにして荷台に座った。
「行くよ」
「うん」
前と同じ、わたしは高瀬くんのワイシャツの腰辺りをぎゅうっと掴んだ。
すると、自転車はスーッと走り出した。
風の音が耳に入る。
走ってもいないのに、胸の鼓動が速くなる。
このドキドキが伝わってしまいそうなくらいの距離で、余計にまたドキドキしちゃうよ……。
ぜんぶぜんぶ、期待させてくる。
高瀬くんはわたしの気持ちなんて知らないから。
ーーこんなのって、ずるいよ。
高瀬くんの優しさにドキドキしたかと思えば、ヒリヒリ痛むんだ。



