「ちがい……ますか?」

「いや、俺のだけど」



そんなに驚くことだったかな。
なんて不思議に思いながら渡すと、彼は優しく笑って「ありがとう」と受け取った。


あれ、なんだろう。
この人って第一印象で冷たそうな人だと思ったけど、意外とふつう?



「じゃあ」

「う、うん」



彼はそう言ってまた階段を下り始めた。



わたしもそろそろ帰ろうかな。

自分の教室がどこかわかったし、それに他の場所はおいおい把握していけばいいよね。



一段一段、ゆっくり下りる。
彼に追いついたら、なんか気まずくなりそうだし。


そう思ってたけど、昇降口でぱたりとまた会ってしまった。

だけど下駄箱の上に載せていたローファーを取って履いているうちに、彼はもう帰ったみたいだった。



同じクラスなのかなあ。
というか、そもそも同じ学年なのかな?