あの人こそ、なんで校舎にいたんだろう。
……部活とか、なのかな。


なんて思っていると、ドアのところでなにかが太陽に反射してキラリと光った。

近寄って、拾ってみると。
それは、たぶん……自転車のカギだった。



これって、さっきの人が落としたやつ?
だってここに来たときは、なかったと思うし。


そう思ってすぐに、走り出す。
彼が消えた方向には階段があって、わたしはきっと彼は帰るんだと思って、迷わず下りた。



5階から1階に向けて急いで階段を駆け下りると、ちょうど3階あたりで彼に追いついた。



「待って!」



そう呼び止めると、彼はぴたりと足を止めてゆっくり振り返った。



「……なに?」

「これ。あなたのでしょ?」



近寄って自転車のカギを見せたけど、彼はなぜか驚いたような顔をしてわたしの顔をじっと見てきた。


……近くて、ちょっとだけドキドキする。