そんなことを考えているうちに、気がついた。最初と歩くペースがちがうなって。


学校を出てすぐのときまでは、高瀬くんの大きな歩幅に合わせて歩いていた。
だけどいまは、高瀬くんがわたしの歩幅に合わせてくれているみたい。


そんなことさえにも、ドキドキしてうれしくなるよ。



「学校、楽しい?」

「うん、楽しいよ。 高瀬くんがこうやって優しくしてくれるし」



そう答えてからすぐに「沙莉とか若菜とか皐くんもね」と慌てて付け足した。



「前とはぜんぜんちがうよ。毎日学校に行くのが楽しいもん。 ……勉強は大っ嫌いだけど、みんなと会えるから」



そんなわたしの言葉に高瀬くんは「ははっ」と笑った。



本当に、ぜんぜんちがうんだ。
毎日がうそみたいに色づいて、とっても楽しい。


ここに来てよかった、って思ってる。
この町に越してきたこと、一度も後悔なんてしていない。