青春に、寄り道中。







6限目、現代国語の授業。


夏目漱石の『こころ』を先生が朗読している。

その女の先生の声は、優しくてゆっくりしていて、まるで子守唄でも聴かされているみたいに眠くなる。


頬杖をついてぼーっとしながら、ふと窓の外に目をやった。



「雨だ……」



思わずぽつりとつぶやいてしまった言葉に、沙莉が反応してこっちを見たのがわかった。


今朝は曇りだったけど、天気予報で雨が降るとかも聞いてなかった。

でも髪を結ぶときにうまくまとまらなかったのも、きっと湿気が多かったからだったんだ。


そういえば、傘持ってきてないなあ。
折りたたみ傘もバッグに入っていなかったような気がする。


それに部活はどうなるんだろう。
中止かな、それとも学校内で筋トレとかをやるのかな……。