「かすみん? なにしてるの?」
そのあとすぐに若菜を見つけたけれど、クラスの友だちと話していたから、なんだか声をかけづらい。
そう思っていると、教室に向かう途中の沙莉がわたしに気がついて、声をかけてきた。
「若菜にこれを返そうと思って」
「ブラシ?」
「うん。昨日借りたの」
「それで若菜は見つけた?」
「見つけたんだけど……」
そう言って、教室内で楽しそうにしている若菜を指差した。
またあとで来ようかな。
それに、お昼のときにでも返せるよね。
「わたしが呼んであげる」
そう言った沙莉は、ドアをガラッと開けた。
近くの席の何人かがその音を聞いて一瞬こっちを見てきたけど、すぐに視線は逸らされた。
その中で、高瀬くんもこっちを見た。
だからパチッと彼と目があってしまった。



