わたしが朝に沙莉と登校中に会うのは、いつもちょっと家を早く出たとき。
それも、のんびり歩いている沙莉を遠くに見つけて、わたしのいつもどおりのペースでもある早歩きで追いつくということが多いんだけど。
「今日は髪結んで来たんだね」
「あ、うん。 最近伸びてきちゃって、邪魔だったんだ」
「そうなんだ! 似合ってるね」
「ありがとう」
沙莉にまでそう言ってもらえて、ちょっと自信が持てた気がする。
正門に入ると、自転車置き場へ向かった沙莉とは別れて、わたしは先に昇降口へと向かった。
そのあと自分の教室に着いてから、昨日若菜に借りたヘアブラシを返すのを忘れていたことに気がついた。
そしてわたしは廊下に出ると、隣のクラスのドアから教室内を覗いてみた。
だけどわたしは、若菜よりも先に高瀬くんを見つけてしまった。
窓側の列の真ん中の席に座る高瀬くんは、ひとりで勉強をしていた。



