この学校に来たとき、すでに前の学校より単元が進んでいる教科もあった。

苦手な化学基礎なんて、みんながわかっていることを前提で、よくわからないところをやっていたりもするし。



「どうしよう……。わたし、ただでさえ勉強できないのに」

「かすみん、授業中よく寝てるしね」

「あ、はは……」



もう笑うしかないよ、本当……。

テストが赤点ばかりだと大学に進めるかも不安になるし、ましてや追試だってあったらもっと困る。


いまから勉強して間に合うかなあ。
ううん、間に合う気がしない。

だってもう、1週間前だよ。



肩を落としてため息を吐いていると、沙莉は階段を上がる足を急に止めて「そうだ!」とまた大きな声をあげた。



「ん? なんかいい案でもある?」

「うん!あるよ!」



沙莉はにんまりと笑って、自信満々にそう言った。