ハヤテは料理を口に運びながら、視線を落としたままで母親に尋ねた。

「……聴きに来る?」

「え?」

「コンサート。」

少し驚いた様子の母親に、ハヤテは思いきって自分の思いを伝える事にした。

「母さんのために弾くよ。でも…これが最後だと思う。いろいろ考えたけど、これからは自分の思うように弾きたい。夏休みにヒロさんのところに行って、オレも信頼できる仲間と一緒に父さんみたいな仕事したいと思った。」

母親は黙ってハヤテの言葉に耳を傾けていた。

「そう…。」

母親の顔は、少し寂しげにも、どこか嬉しそうにも見えた。