「今更なんだけど…名前の意味とかあるの?」

昔から気になっていた事を尋ねると、父親はジッとハヤテの目を見て、一言ずつ力強い声で答えた。

「迷わず自分の道で上を目指して、いつか天辺(てっぺん)に立つ男になれるように“颯天”ってな。かっこいいだろ。」

「かっこ良すぎるな…。」

自分には似合わないと思い、ずっと嫌いだった“颯天”と言う名前に、父親のそんな願いが込められていたのかと思うと素直に嬉しかった。

そんな大切な願いの込められた名前を、これからもずっと、メグミに呼んでもらいたい。

“ハヤテ”と言う名前も、父親の期待を背負った自分の事も、初めて好きになれた気がした。