「なーなー、これ、なんていう紅茶?」


 白いティーカップから顔を上げた園森の左眼は、もう赤くなってなかった。

 でも好奇心と幸せに満ち溢れているようにキラキラ輝いてる。

笑い方は猫っぽいけど、言動は犬っぽい。

 尻尾がブンブンと揺れる幻覚が見えそうだ。


「ストロベリーティーだよ。ポットの中で苺を潰して、そこに茶葉を入れたものを淹れたの」

「へーっ、あたし、紅茶は苦手だったんだけど、これならイケそう!……おかわりもらっていいか?」

「はいはい」


 いつも一人で淹れて、一人で飲んでたから、なんだか不思議な感覚。

 同じ超能力者だから、隠さなくていいって思うから、他の人間と違って落ち着くのかな……。


「ところでさー」

「ん?なぁに?」

「お前、誰?」


  ゴンッ!!!


 おぉぅっ……

 おかわりを淹れる途中、本棚に思いっきり頭をぶつけてしまった。