光がいなくなり、少し経って出店のあたりに戻ると、人はほとんど帰り、店も片付け始めていた。 それでも多い人を避けながら、出口を出ると、運転手さんが立っていた。 「おかえりなさいませ、お嬢様」 「…ただいま」 私はいつもどおり笑顔を向ける。 運転手さんが顔を歪ませる。 「大丈夫です」 私はなにか言われる前に言った。 自分に言い聞かせるように。 「…さぁ、帰りましょう。お嬢様」 「はい」 車は静かに地面を滑り出した。