9月に入りもう3週目。
少しずつ暑さも和らいでおり、次第にみんな休みモードから抜け出していた。


「昴っ!」
昼休みが終わり、うとうとしかけていた昴の名前を呼ぶ声がする。


「え?あ…あっ、芽衣か!」


「もう、ぼーっとしちゃって…
やっぱり昴疲れてる?」


心配そうにする芽衣に首を横に振る。
しかしその表情は変わらぬまま。


「ねぇ…昴…今年は出れるの?」


言いずらそうに尋ねる芽衣に、どういうこと?と聞き返す。
あれだよ、と指差す方向を見ると黒板には大きく文化祭と書かれていた。


「そっか…文化祭の時期か…」


来月に文化祭を控え、この時間はクラスでの話し合いとして割り振られていた。


「まだわからないんだ。私も来たいとは思ってるんだけど…」


「そうだよね、今忙しいもんね。
きっと隣のクラスでもそんな話してるよ」


あぁ、優のことね…と苦笑する。
すると芽衣が昴に耳打ちした。


「みっきーに聞いたんだけどさ、
昴と宮藤くんの欠席が同じタイミングなのって…」


今もしかして同じ仕事なの?と聞く。


中学のころから変なところで芽衣は勘が鋭い。
きっと友達に優の欠席のことを聞いて勘付いたのだろう。


そもそも「みっきー」が誰のことなのか昴にはわからない。


「因みにみっきーっていうのは三木梨花子。1組の学級委員だよ」


「あぁっ!あのスポーツ少女か!」


1年の時、学年末に行われたスポーツ大会のリレーでアンカーを努め、最下位だったチームを1位にした彼女。


昴はその颯爽と走り抜ける姿を思い出した。