あんなになるとは思わなかった…とため息を吐く優に、根本的な質問をぶつける。
まず何で転校先の学校にここを選んだのか、ということ。



「あぁ、まず引っ越そうと思った理由が仕事がやりやすいように都内にある事務所の側で暮らそうと思って。それで今は事務所が借りてくれたマンションに住んでる」



なるほどね…。
でも高校生がそんなに仕事に力入れたら学業どうするの?と聞く。



「昴だってそうでしょ。でも何だかんだ両立出来てない?それと一緒だよ」



「でも何でうちの学校に…」



答えは至ってシンプルであり、マンションから一番近いから、だそう。



「優くんどこに住んでるのよ」



個人情報なんだから一切口外禁止な!と冗談を交えつつ、ある高層マンションの名前を口にした。


「えっ!本当に!?よくそんな高級マンションに住めるね!」


「だから、あれ事務所が借りてるマンションだって。さっき言ったばっか」


あ、そうだったね!と笑って誤魔化す。


「昴は学校から家近いの?」


「そんなに近くはないかなぁ。
でも私立に通うなんて出来ないから、車で送り迎えしてもらってここ通ってるの」


それから2人は5限開始のチャイムが鳴るまでお互いのことや学校のことを話していた。