「それ歩けるの?」
優はほとんど動けない状態の昴に聞いた。
「結構痛い、わりと痛い…」
だろうな、と昴の前に出て背中を向けてしゃがみ込んだ。
「何してるの」
「歩けないんだから仕方ないだろ、早く乗って」
まさかの提案に顔が凍りついたのが昴自身にもわかった。
どうしよう、と水島の顔を見る。
「く、宮藤くん、この後撮影もあるだろうし私がどうにか連れていくから平気よ」
「今日ヒール履いてるし水島さんじゃ昴のこと背負えないんじゃないですか?それに撮影全部終わってて今日はフリーなんで大丈夫です」
ほら早く、と催促する優。
確かにこのまま歩けないし背負ってもらうしかないのかもしれないと諦める昴。
「ごめん…重いけど…お願いします…」
「こんなんで重いなんて言われると困っちゃうね。
じゃあ僕も一緒に病院行ってきます」
昴を背負った優によろしくなー!と声をかける鈴屋。
駐車場まで3人で歩く。
本当にごめんなさいね、と水島が呟いた。
どんよりとした空気に優は声を上げて笑った。
「いつも俺が助けてもらってるんですからこれぐらいなんでもないですよ」
後ろからもごめんね、と声が続いた。
「はいはい、怪我人は大人しく背負われてなさい」
自分の車を見つけすぐにドアを開ける。
昴と優が後部座席に乗り込むと水島はアクセルを踏んだ。
「ところで宮藤くん今日1人?平井さんは一緒じゃないの?」
水島からの問いに初めて自分のマネージャーのことを思い出した。
優はやってしまった、という表情なる。
「…今から連絡します」
その後連絡を受けた平井は急いで撮影所を飛び出し病院へ車を走らせた。
