昴の代わりに出てきたのは肩に付かないぐらいの髪をふわふわとさせた女の子。
彼女の特徴でもある丸い目が2人を捉えた。


「あ、瀬山さんだよね?」


はい、と頷き芽衣は近寄って行く。


「ちょっとだけ今いいかな?」


「でも、準備が残ってるんです」


「櫻井さんのことで…。
すぐに済むと思うからちょっとだけ」


その名前を聞いた途端芽衣は首を縦に振り、そのまま3人で場所を移す。
行き先はいつもと変わらず人気の無い階段の踊り場だった。


「昴のことって…なんですか?」


警戒をしているのかどこか口調が硬く、和らげようと海斗が声を発する。


「あっ!僕たちね、1組の久石と隣にいるのが真水。急にごめんね」


と言う海斗と人の良さそうな笑顔の蔵之介を交互に見たあと、ほっと胸を撫で下ろした。


「なんだ…隣のクラスの子かぁ!
あ、私は瀬山芽衣です」


一瞬驚いた顔をされたが、すぐにその表情には笑顔が浮かぶ。


「で…何で1組の2人が私に用事なんてあるの?」と当然の質問。