「え、芽衣?何するの?」
不安そうな昴の声に吹き出す芽衣。
「ちょっと昴!?やめてよもう!
最近話せてなかったから2人でお話したいなって思っただけ」
ぷーっとわざとらしく不貞腐れて座る友達に「そっかそっか!ごめんね芽衣」と笑う昴。
芽衣はどうせこの時間誰も入ってこないからと鍵を閉める気は毛頭無いらしく、机の上に鍵を放り投げた。
「お仕事は…忙しそうだね」
どう?と聞きたかったのだろうが、学校の出欠具合を見て言葉を変えた。
「でも、楽しいよやっぱり!
アクションって言葉通り大変なこと多いんだけどね」
全身痛くて痛くて…と腕を摩りながら昴は答える。
「でも前芽衣がくれた湿布のおかげで痛み和らぐよ!ありがとう」
今も腰に貼ってある湿布から薄っすらと薬の匂いが漂ってくる。
あんまり無理しないでね、と芽衣は一言だけ返した。
「劇はどうなの?演劇部の」
「あ、うん、そっちの方も段々形になってきて仕上げの段階。まだあと数日残ってるからそこで完璧にする!」
「それでね…」
俯く昴はぼそりと言葉を繋げた。
「もしよかったらでいいんだけど…
芽衣、見に来てくれない?」
申し訳無さそうに控えめに誘いを受けた芽衣。
立ち上がってそのまま近くにあった雑誌を丸めて頭を叩いた。
「いっ、たー…痛いって!!」
「あのねー昴、いい加減にして!
よかったら〜じゃなくて、見に来て!だけでいいの!何をそんな遠慮してんの?私たちそういう仲だったっけ?え?」
「はい…ごめんなさい…」
わかればよろしい!と満足そうに彼女は笑った。
