「その感じじゃきっとマネージャー…何だっけ?名前。えーっと…あぁ、平井さんだっけ?にも言えてないこと沢山あるんだろ」
「いやぁ…そうなんですかねぇ」
すると飲み終わったコーヒーの缶を捨て立ち上がった。
「昴ちゃん絡みで何かあったのかと思って聞いてみただけなんだけど。まぁ深い意味なんて無いから気にすんなよ」
じゃあまた明日な、と手を振りスタスタ帰っていく藤森。
最初の頃は嫌味ったらしい発言や、明らかに「可愛くないガキだな」なんて雰囲気も感じ取れた。
なのにこの展開…
「ほんとに何なんだあの人は」
ふと顔を上げると時計の針はここに来たときより40分以上経っていることを告げていた。
「やばっ…平井さん」
あのマネージャーのことだから大人しく楽屋で帰りを待っているに違いないだろうと察し、立ち上がった。
すると白く小さいものが視界の端に映る。
足元に落ちた紙切れを拾うとノートか何かの切れ端が折りたたまれていた。
「…ゴミ?」
捨てようかと思ったが一度中を開いて確認することに。
開いた瞬間くつくつと笑いがこみ上げてくるのを我慢出来なかった。
「…嘘だろこれ」
丁寧な字で電話番号とメールアドレスが記されていた。
最後にはそれを書いた人物の名前も書かれている。
いつ置かれていたのか気付かなかったが先輩のキザな行動に優は笑いを隠せなかった。
(何だよ藤森さん、かっこつけだな!)
