「優、なんで…」


『マリア、やはり君の歌は素晴らしいよ!なんて素敵な歌声なんだ!』


トラップ口調で近寄ってくる偶然にも軍服を着た優に昴は鋭く突っ込む。


「…そんなセリフあったっけ?」


無い!ときっぱり答える優。


「でもいいじゃん、俺が今思ったように大佐もきっとマリアの歌に聞き惚れたはずだから」


さらっとと昴を褒める優。


「それ…褒めてくれてるってこと?」


少し鈍感な昴の頭をこずいて、当たり前だろ!と優。
そのまま背後にある白いソファーに腰を下ろした。


「最近どうなの?」
いきなり始まる近況報告会。


「どうって言われても…優は?」


「俺?毎日仕事と学校、あと劇の練習」


「それ私も一緒なんだけどな」


似たような生活をしているんだから、当然同じような答えにしかならない。


「サウンドは調子良さそうだな」


部員たちの間では「サウンドオブミュージック」略して「サウンド」と呼ばれていて、2人もここ最近真似して呼び始めた。


「まぁね!この作品好きだから」


好きだから…か、と優は口を動かす。


「そういえばあの時もそうだった?
学校で木刀持ち出して剣術練習したとき」

その言葉に昴は開いた口が塞がらなかった。