「なにが?」
よ、よだれとか垂らしてなかったよね……?
そう思って必死に口元を拭った。
今までは前に座ってたから寝るときはちゃんと腕でガードしてた。
けど、一番前の席になってから気を抜いてた。
腕で顔をガードし損ねてた。
「なんでそんな反応?」
「アキこそ、どーしてもっと早くに起こしてくんなかったのよ」
普段は安眠妨害するくせに。
「いや、だって……寝顔見てたかったし」
ぎゃー!
やめてー!
一気に顔が発火する。
耳まで熱い。
「ツヤコ?」
「そ、う、いう事、言わないで」
死ぬから。
恥ずかしくて死ぬから。
むしろアキはなんでそんな事、恥ずかしげもなく言えるんだ。
思わず顔を覆って机に伏せた。
「そう思うんなら、もう少し起きる努力するんだな」
「……っち」
「舌打ち聞こえてるぞ」
聞こえるように鳴らしたんだよ。



